Tokyo Bike Blissができるまで
はじまりは2018年
2018年のある日、自転車で日本の観光地を走る写真がFacebookのタイムラインに突然流れてきた。そして、それといっしょに「ガイド急募!」という文言。
その投稿を目にするまでは自転車でお客様を連れて走り、日本のことを紹介するという発想がまるでなかった。サイクリングは趣味で、ガイドといえばバスガイド。またはウォーキングツアー。まさか、自転車とガイドを組み合わせるなんて考えたこともなかったけれど、面白そうな組み合わせだと感じた。
東京再発見の連続
ガイド体験会があると聞き、さっそく申し込み。冬の寒空の下、東京の大手町にある体験会の集合場所に向かった。体験がはじまるまでは日本人で東京生まれの自分は、東京のことをよく知っていると思っていた。
しかし、その体験会では、発見の連続だった。全く知らなかった静かな公園、聞いたこともない地域情報、すでに知っていることも違う視点から学ぶ再発見。東京は自分が知っていた以上に、地域ごとに目まぐるしく景色が変わっていく。そういった一つ一つの地域を、針で縫うかのようにサイクリングで繋げていくのだ。自分が抱いていた東京に対する先入観が崩されていくのはとても心地よいものだった。
ガイドデビュー
ガイド検定を受けて、自転車ガイドとしてデビューをしたのは、半年後の夏の暑い日だった。オランダから東京観光に来ていたゲストはちょっと暑さにまいっていて、途中でコーヒーブレイクを取ることに。こういう臨機応変な対応ができるのもサイクリングツアーの強みだ。
コーヒーを飲みながら、互いの国の政治、経済、宗教、教育、日常生活などさまざまなトピックで談笑した。こういう何気ない会話から、「日本人はどんな生活をしていて、どういうことを考えているか」ということを少し知ってもらえたのではないか。
ガイドが終わって握手を交わした。そのときの充実感は忘れられないものとなった。自転車ツアーでしか提供することのできない、もっといえば、私しか提供できないことを伝えることができたのではないか。握手をしたときの感触と満面の笑みから、お客様の満足感も感じることができた。
それからも日々忙しくガイドを続ける予定だったのだけれど、新型コロナウイルスで3年間くらい開店休業状態。2022年の秋も深まるころになって、ようやく、ガイドをする機会が戻ってきた。久しぶりのガイドは緊張するものだったけれど、やはり充実感たっぷり。
自転車ツアーで私がしたいこと
日本人代表の一人として日本のことを伝えていく。いっしょに写真を撮りながら、ペダルをまわしながら、コーヒーを飲みながら、和菓子をともに食べながら、日本のことを知ってもらいたい。
インターネット上にはすでに様々な情報が溢れている。楽しいYoutube動画もたくさんある。でも、実体験でしか伝えられないこともあるのではないか。バスガイドではできないこと、ウォーキングツアーでは辿り着けないところ、サイクリングツアーならばできるかも。
自転車であれば、東京の高層ビル街から下町の路地裏までを探索することができる。気持ち良い風を感じながら。ぜひ、この楽しさを伝えたい。
2023年初冬のある日、一念発起。今までの事業を辞めてTokyo Bike Blissを創業することに。